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リチャード3世 歴史について考察 (棟方 康之)

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リチャード3世とは・・・?

イギリスの歴代の王の中で、この写真の顔、よく見かけるのではないでしょうか?

この人はリチャード3世といいましてご存知の方も多いのかな?と思います。どんな人かといいますと、イギリスの歴史上でも有名な薔薇戦争の最後を飾ったヨーク朝の王様です。テレビシリーズ「クラウン・ホロウ」では、ベネディクト・カンバーバッチがこの王様を演じていますね。

「ボスワースの戦い」で、ランカスター朝(チューダー)ヘンリー7世と衝突し結果、戦死してしまいます。死体は一度、素っ裸にされ晒され、その後、レスター修道院に収められるのですが・・・ヘンリー7世の息子、ヘンリー8世(イギリスでは最も有名な王の一人ですよね)の修道院解体により、死体が安置されていたレスター修道院も解体されます。そこに安置されていた、リチャード3世は・・・近くの川に捨てられてしまいます・・・・。

生きているときは、ヘンリー7世に、死んでいるときにはヘンリー8世に・・・親子そろって酷いことをされた哀れな王様です。

この王様、悪逆非道な王様で知られていると思いますが・・・これは、劇作家シェークスピアの作品の中で、悪者のように描かれ、その認識が広まってそんな人物像になってしまっていますね。

しかしながら、王になる前の彼は、兄であるエドワード4世を支え忠誠を尽くしました。当時の実力者のウォリック伯がランカスター朝に寝返り、一度兄・エドワード4世を追放するのですが、その時ウォリック伯はリチャード3世に彼の陣営に加わるよう誘いをかけます。しかし、彼は一貫して断り、それから、兄を助け、奔走し、見事に兄を王に復帰させます。

そんな彼を考えると、そんな悪い人なのかと思うのですが、その兄が病死すると、あとを継いだエドワード5世とその弟をロンドン塔送りにし、自らが王となります・・・(エドワード5世とその弟は、失踪とみせて殺されますが・・・これは、ひどいことをしたように感じますね。)

そして、しばらくして・・・・運命の戦い「ボスワースの戦い」で、ランカスター朝のヘンリー7世に敗れ、戦死します。

一件良い人そうに見えて、悪い人そうで・・・歴史で語られている部分は、そんな感じですが・・・。

「歴史は勝者によって作られる」ということもあり、敗者は悪いものとされる歴史の常。実際の所、真実はすべて闇といったところですね。

そんな彼も今まで、墓を持たないイギリス歴代の王様の一人となっていましたが、長い時を経て、2015年にレスターという地方都市にある、駐車場の下から発見されました。これは、歴史的な大発見ですね。

もちろん、調査を受け、その後はレスターが市を上げ、葬儀され、無事、現在のレスター大聖堂の中へ運び込まれ、現在はそこで眠っておられます。

その後、リチャード3世の博物館が、レスター大聖堂の近くに作られました。今回、歴史好きのお客様と訪れたこの博物館「リチャード3世ビジターセンター・Dynasty, Death and Discovery」

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そこのガイドブックに書かれていた文面に、「今まで語られている歴史はすべて真実とは限りません・・・」という一文がありました。

実は僕も歴史学について、このガイドブックと同じ考えを持っていまして、お客様に歴史について説明するとき、はっきりとこれが正しいとは断定はせず、僕の知っている知識での話を元に、お客様にいろいろと考えて頂くという感じで案内しております。

歴史家達は、当時の文献や発掘物などを解析して、それを元にその当時の歴史の真実の謎を紐解いていきますが、いろいろと解釈が違っていたりしますし、それぞれの参考文献などには信憑性に欠けるものもありますよね。

そして、新たな発見があると、それまでの歴史の説が一気にひっくり返ったり・・・

現に、新たに出土したリチャード3世の遺体のDNAから、ランカスター朝(チューダー朝・ヘンリー4世~エリザベス1世)の公式の家系図に疑わしい点が現れたみたいですよ。

(ここは複雑なのですが・・・ヘンリー4世の父、ランカスター公ジョン・オブ・ゴードンから続く男系の子孫と一致しなかった=家系図に書かれた父親とは違う父親を持つ子どもがある時点でいたこと。要するに正統性が疑わしくなったことを意味しますね。ちなみにヨーク公、ランカスター公ともに父はエドワード3世。)

こんな感じで、歴史は、はっきりと判明されない・・・判明されないから、いろいろな思いが巡る・・・新たな発見が出てきて、更に思いが巡る・・・だから歴史にはロマンがあると僕は思います。

それはそうと、リチャード3世・・・長い間、駐車場の下に閉じ込められて、苦しかったでしょうに・・・今はレスター市によって、無事安らかに眠られていることと思います。

長い間、本当にお疲れ様でしたね。リチャード3世。

 

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